【三河山野草園】旬の生きもの
冬場につき旬の生きもの紹介はお休み中です。
代わりに三河山野草園でどのような活動を行っているのか、紹介したいと思います!
■三河山野草園の「茅場(かやば)再生プロジェクト」
この場所を見て、「山野草園なのに雑草を放ったらかしにしていて、みっともない」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも山野草というと「カタクリ」や「エビネ」など、山野草販売店で売られている種類を想像される方が多いかと思います。ところが、この場所にはそのような観賞を目的とした植物は植えられていません。この場所にもともとあった植物がそのまま生育しています。これこそ立派な地域の「山野草」です。

山野草として人気のあるカタクリ
この場所に最も多いのはチガヤやススキといった、いわゆる「雑草」の代名詞ともいえる植物。2025年11月までに計101種の植物が確認されています。
チガヤが広がる草原
「有名な山野草を持ち込んで植えたほうが見栄えがよいのでは」という声が聞こえてきそうですが、ここでは元からある植物を大切にしながら「昔ながらの草原」を再現することを目指しています。
草原はかつて日本中にありふれており、茅場(かやば)として使われてきました。主な用途は、茅葺き屋根の原料、馬や牛の餌、作物の肥料などでした。
しかし、現代においては草原には使い道が少なくなったことから、その面積は150年前の約4%にまで縮小し、景観の悪化、災害の増加、鳥獣被害の増加、山菜・筍・キノコなどの山の恵みの不作、山村文化とそれらを継承・活用する基盤の崩落、生きものの多様さの減少(自然の豊かさの減少)などさまざまな課題を招いています。
草原の縮小について
某県の里地・里山における草原および耕作地の縮小の例(左:1947年、右:2025年)
この場所では、年に1度の草刈りとそれらの草を作った堆肥づくりを行いながら、貴重な地域の草原を管理しています。
昔の里山の景観に思いを馳せていただきながら、安全に注意して観賞いただければ幸いです。
また、東三河地域環境リーダーでは
・植生調査
・草原の生きものの観察会
などの活動を実施し、その維持管理に努めています。興味のある方は、事務局n.miyata@gfken.comにメールしてください!
植生調査
観察会
この草原には比較的多いショウリョウバッタモドキ
■謎のネットの正体は…?
さて、もう一つの話題。
山野草園の北側に網が張ってあります。これは一体なんなのでしょうか?
実はこれは玉ねぎネット(今は日に当たって白くなっていますが…)。何に使われているかわかりますか?
「鹿よけ」です。
守っているのは園内に自生するオオヒヨドリバナです。
オオヒヨドリバナで吸蜜するアサギマダラ
オオヒヨドリバナは日当たりの良い場所に生育するキク科の植物で、晩夏以降に白い花を咲かせます。
甘い香りを放ち、旅をする蝶として知られるアサギマダラが好んで吸蜜することでも知られています。
今、この地域一帯ではシカが急速に増えていて、多くの植物がその影響で数を減らしています。
オオヒヨドリバナも例外ではなく、公園内に自生する植物の中でも最も減っている植物の1種と考えられます。
そこで、山野草園を地域に固有の植物の保全の場として位置づけ、地域環境リーダーのメンバーが種子を採取、育苗したうえで植え戻す作業を行っています。
地域環境リーダーが育てたオオヒヨドリバナ
これまで、植えてもすぐにシカが侵入して食べられてしまっていましたが、
海苔の養殖網などを用いて食べられない工夫を凝らしてきました。
2025年には、林業現場で効果が実証された「玉ねぎネット」を使用して株を保護しました。2026年以降も、これまでの保全手法に改良を重ねながら、地域の貴重な植物を保全していきたいと考えています。
オオヒヨドリバナの植栽作業


